中村天風

麻雀強そう

中村天風『運命を拓く』レビュー

最近、中村天風という人の『運命を拓く』という本を読んだので、 ちょっとその本についてレビュー的な記事を書いてみます。

私、何ぶん不勉強なもので、 本書に出会うまで中村天風という人のことは存じ上げておりませんでしたが、 読んでみたらこれが中々良かったため、 『The Power Of Now』を読むのも忘れて一気に読んでしまいました。

いつもながらレビューにもならないレビュー記事ですが、 気になった人は読んでみてください。

出会いの顛末

まず、私が本書と出会ったのは、近所の本屋でのこと。

中島らもの『僕にはわからない』という本を読みたくて探していたら、 同じ講談社文庫「な行」の棚に本書が置いてありました。

中村天風…麻雀の人かな?」などと思い、 積み込みや通しのテクニックが書かれているのかと中を覗いてみたら、 何と!悟り&引き寄せ系の本ではないですか。

しかも、読んでみると書かれていることが中々面白く、 読むのが止まらなくなり、そのまま買って読む運びとなったのです。

運命を拓く

運命を拓く (講談社文庫)

運命を拓く

帰宅して「この話上手なオッサンは一体何者?」と調べてみたら、 明治から昭和にかけて活躍した人で、 あの三島徳七や宇野千代も話を聞いていたというではありませんか。

※三島徳七は本書にも名前が出てくるし、 宇野千代は中村天風についての本まで出している。 現代だと稲盛和夫や永守重信が読んでいるとのこと。

中村天風
衝動買いした本書。帯に松岡修造の推薦文あり。後ろは『かもめのジョナサン完全版』。

本の中身

で、肝心の中身ですが、氏の講演をまとめたものとなっており、 まず前書きで著者の生い立ちが書かれております。

この生い立ち、中々壮絶なもので、 Wikiにも同じ内容が載っているので見ていただきたいのですが、 「本当かよこれ」などと思えてしまいます。

まぁその辺の真偽についてはともかく、著者は30歳の頃、 当時は致命的だった悪性の結核にかかり、何かのご縁でインドの山奥で修行することになり、 修行の結果「天の声」を聞き、結核を完治させて92歳まで生きられたとのこと。 (「天の声」といっても変なカルトではなく、禅でいうところの静寂というか『ニューアース』や『Stillness Speaks』でいうところのStillnessと大体同じ)

そんなエピソードを元に著者が構築した哲学の一例を挙げてみると、

  • 人間の心は宇宙とつながっているので、正しく思考すれば正しいものが還ってくる。逆もまた然り。
  • 健康で幸せな状態が自然の状態。宇宙とのつながりが切れると、病気になったり嫌な気分になる。
  • 身体が病んでいても心が積極的で健康ならば、病は治る。
  • 自分が今病気なのは、病気に意識を向けて「やれ痛い」「やれ苦しい」とやっているから。
  • 自分が今ミジメなのは、「俺はミジメだ」と思っているから。
  • なので、嫌なことがあっても「ありがたい」「幸せだ」と思うこと。積極的な態度を保つこと。
  • 思考や感情が出るのは自然なこと。それらをずっと握っているのでなく、軽くいなせ。
  • なりたいものがあるなら、まずは「その状態になった」と思え。
  • 考えるべきことは。真、善、美のみ。
  • 「真」とは、「自分が宇宙とつながっている存在である」という信念。
  • 「善」とは、ニューアース的にいえばエゴの無い状態。
  • 「美」とは、調和のこと。

と、どこかで聞いたことのあることが色々書かれているのですが、 本書の方が何十年も前であるし、 日本人が日本語で語っているので、欧米人の翻訳文よりも何かしっくりきます。

それよりも私が気に入ったのは、洋モノの引き寄せ系や悟り系の翻訳文によくある、 耳当たりの良いヘナヘナした物言いでなく、 所謂「火の玉ストレート」なズバリとした物言いが全編に渡って展開されているところで、 読んでいて直接魂に響いてきて、痛快な気分にさせてくれるのです。

ただ、あまり人のことは言えませんが、 著者は熱血が過ぎるのか少々毒舌なところもあり、

  • 占いやら六曜やら風水なぞに頼る奴はチンパンジーにも劣る。
  • コンパクトなる化粧道具を取り出して低い鼻の周りを引っ叩く暇があったら、己の信念を喚起せんかい。

と、キラキラ☆ハッピーオバサン達が読んだら激怒しそうなことも書かれており、 この辺は好き嫌いが分かれるかもと思いました。 (宇野千代には受けたので、才女には受けるのだろう)

実践方法は・・・?

というわけで、私には概ね好評な本書だったのですが、懸念点および疑問点を2つほど。

まず第一に、私が読んでスイスイと内容が入ってきたのは、 ニューアースやら引き寄せやら色々読み、 それに基づく実体験や知識があるからで、

悟り系も引き寄せも知らない人がいきなり本書を読んだら、 「ただの口うるさい爺さんが意味不明なこと言って長々と説教しているだけ」 で終わってしまうのではないか、ということ。

やっぱりニューアースやエイブラハム赤本といった分かりやすい?本で、 基礎知識をつけた方が良いかもと、お節介ながらに思いました。

第二に、講演会がベースなので仕方ないかもしれませんが、 「じゃあ結局何すれば良いの?」について、分かりやすく書かれていないこと。

これも基礎知識があれば「ああ、多分こうすれば良いんだろうな」と分かるのですが、 この辺の実践方法についても、始めて読む人にはチンプンカンプンかもしれません。 (おそらく、本書は何十とある中村天風シリーズの一冊で、 具体的実践方法が書かれた本は別にあるのだろうが)

ただ、そういう点があるにせよ、 どこかの段階で読んでみれば心に響く本である、と私は思いました。

まとめ

  • 『運命を拓く』は、エピソードの真偽はともかく、読めば何らかの力が湧いてくる良い本。
  • ただし、事前にエイブラハム赤本やニューアースや神との対話なんかを読んでおく必要あるかも。
  • 私は好きだが、説教じみて古臭い著者の口調が気に入らない人がいるかも。
  • 講演会をまとめたものらしいので仕方ないが、実践方法がどこに書かれているのかよく分からない。
  • もちろん、本書に感銘を受けたからといって、私は天風会には入らない(多分)。
  • 最初に探していた『僕には分からない』は、まだ読んでいない。

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