解説まとめ『The Power of Now』

前回の記事:8章:人間関係

今回は9章。

「幸せと不幸せを超えたところに平安がある」というサブタイで、 何で巷にあふれる「引き寄せの法則」は効果が無いのか、 本章を読めばその理由がよく分かる内容となっております。

一つ言わせていただくと、本書が出版されたのが1997年、 引き寄せブームの火付け役『ザ・シークレット』が出版されたのが2006年で、 本書の方がシークレットよりも10年近く前なのですが、 本書が話題にならずシークレット等の引き寄せ系が大流行したのは、 やはり思考に囚われた無意識状態の人間が多いからでしょう。

※ちなみにニューアース出版年は2005年。

かくいう私も、 シークレットを見たり読んだりした当時は感動のあまり「3億円ありがとう」なんて唱えていたし、 初めて『ニューアース』に出会ったときにどんな印象を抱いたかというのも記事に書いたので、 その辺については全く偉そうなことは言えないし、 今なら引き寄せにハマる人々の心理も痛いほど分かります。

しかし皮肉なことに、そういう無意識状態なエゴ人間を 「いつか」救済してくれるメソッドなんて存在しないので、 そういう人達は、たとえどんな状況に置かれようとも死ぬまで苦しみ続けるのですが、

苦しみはエゴを燃やし尽くし目覚めに至る道の一つなので、 エゴは苦しむのを嫌がるけど、 苦しみ続けるのもまぁOKというのは本書やニューアース等にある通り。

引き寄せ的ポジポジ(意味深)

そんな本章ですが、第1節の「The Higher Good beyond Good and Bad」から

「ポジティブな思考をしているとポジティブな状況が引き寄せられるといいます。 人生にポジティブな状況だけを引き寄せることは可能ですか?」

などという「いかにも」な質問が出てきて、それに対して著者は

こんな風に回答されています。 (繰り返すが、これは引き寄せブームが到来する9年前の問答)

さらには、こういう回答をすると十中八九出てくるエゴからの質問には

という風に回答されており、これは5章の「喜怒哀楽全てが揃って完全」や 4章の「ネガティブ性(思考によって生まれる苦しみ)とサヨナラバイバイしてから行動しよう」 と同じニュアンスでございます。

今ならこれらの文章、ちょっと目を通しただけで言葉を超えた実感として全身で分かるけど、 引き寄せにハマって「3億円ゲットしました!3億円ありがとう!」 などと毎日必死に唱えていた頃の私には、 目を皿のようにして何度読んでも到底理解できない内容であります。

なので、本章、ひいては本書を読んでも理解できない人は、 無理に理解したり理解できたフリなんてしなくてよいので、 お好きな引き寄せメソッドを気が済むまでやり続け、 苦しみ続ければ良いと思います。

やれ思考が現実化したしなかった、やれ引き寄せの効果が出た出なかった、 やれ良い気分になった悪い気分になったと一通り大騒ぎして「いやぁ…もう十分堪能したよ…」となった後、 あらためて本書なり何なりを読んでみると、 言葉や思考を超えてその内容が分かると思います。多分。

パラドキシカルな平安

要するに、何で巷の「引き寄せの法則」に効果が無いかというと、 賢明な読者の方ならもうお分かりでしょうが、

引き寄せ実践者の殆どが「思考=自分」という思考の奴隷状態、 思考を使うのでなく思考に使われている状態、 つまりエゴの状態だからであります。

「思考や感情が人生を創造する」というのはおそらく本当でしょうが、 その思考と感情の主が、思考と感情の奴隷になっていたのでは本末転倒ではないですか! (このレベルまで言及されている本が、引き寄せ系には無いのが何ともいえない)

あれだけ引き寄せブームが起きても多少の効果すら出ない人間が殆どを占め、 キラキラ☆ハッピーになるつもりがシワシワ★アンハッピーになってしまったのは、 この「エゴ状態」こそが理由であると私は確信しております。 (またいらんことを書く!)

そんなエゴ状態のため、

といったようなこと(上記はほんの一例)を延々と繰り返すのですが、

エゴ的「良い」の裏には「悪い」が必ずある (乱痴気騒ぎの後には酷い二日酔いがあるとニューアースにもあった)ので、 「些細なこと」から「大きなこと」までいちいち一喜一憂させられる羽目になり、 その一喜一憂でもって一生を過ごし、そのままゲームオーバーとなるわけです。

※そもそも、エゴ基準で「良い」「悪い」のゲームやドラマを続けるならば、 絶対にバッドエンド(=老、病、死)になるが、エゴはそのことが分かっているのか?

こんなゲームはもう沢山だというなら、 「これは良い!これが欲しい!これを引き寄せよう」 「これは嫌だ!これについて考えないようにしよう(本当は気になるけど気にしないフリをしよう)」 などと良い悪いの決めつけをするのでなく、

たった今の状況、今の出来事をあるがまま受け入れる、 受け入れるのが無理ならお手上げ状態になりましょう、 今に対する抵抗をやめて今を味方にしましょう、ということで、

To offer no resistance to life is to be in a state of grace, ease, and lightness. This state is then no longer dependent upon things being in a certain way, good or bad. It seems almost paradoxical, yet when your inner dependency on form is gone, the general conditions of your life, the outer forms, tend to improve greatly. Even if everything were to collapse and crumble all around you, you would still feel a deep inner core of peace. You may not be happy, but you will be at peace. (ヘボ訳:生命に逆らわないということは、優美、平安、明快の状態にあるということである。 この状態は、もはや「良い悪い」などという決めつけに依存しない。 殆ど逆説的で奇妙のように感じるが、あなたの内面が物質や思考といった「形」に依存しなくなったとき、 それがあなたの生命本来の状態なのだが、外部の形が劇的に改善される。 たとえあなたの周囲全てが崩れ、砕け散っても、あなたは依然として深い内なる平安のコアを感じている。 あなたはハッピーではないかもしれないが、平安にある)

上記の通り、今(=生命)に逆らわないと状況が改善していくということが、4節にあります。

これを私なりの言葉で表現してみると 「『無常なもの』を何とかして『永遠なもの』にしようと悪あがきせず、 無常はただ無常な『あるがまま』にまかせて『源』を意識していると、無常の中で安らぎが生まれる」 といった感じでありますが、表現方法は人それぞれでOK、 というよりも、自分なりの表現方法を編み出して初めて効果が出るものではないでしょうか。

ともかく、まずは自分が思考の檻に囚われていることに気付いて抜け出そうということなのですが、 「思考の檻から抜け出したら状況が劇的に改善されますか?」 「抵抗を無くしたら引き寄せが上手くいきますかぁー?」 なんて考えているうちは抜け出すことなんてまず無理だというのは、 今までの解説通りです。

以上、引き寄せなんてのは思考では到底理解不能なパラドキシカルなもので、 エゴで「良いものを引き寄せよう」とウンウンやっているうちは一喜一憂させられるだけ、 上手くやりたければ…ということでございました。

何かずっと同じことを書いている気がするけど、 本書がずっと同じことについて書かれているので是非もなく、今回はここまで。

10章:お手上げに続く。

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